Smiley face
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特定生殖補助医療法案の行方を懸念し、海外の精子バンクを利用して生殖補助医療を受けた女性。胎動を感じるたびにうれしくなるという=2025年4月12日午後0時36分、東京都内、奈良美里撮影

 「ぽこぽこ動くたび、赤ちゃんが来てくれてよかったなって感じるんです」。そう言って優しくおなかをなでる女性の姿を見て、あたたかい気持ちになった。

 出会った日に女性が一目ぼれしたこと。子どもを育てることへの思い。初めて胎動を感じた日、2人で目をまん丸にして顔を見合わせ、笑いあったこと――。

 女性パートナーとの日常を聞き、取材ノートに書きこんでいった。だが、女性が付け加えた一言を聞き、現実を突きつけられた。

 「法案が先にできていたら、この幸せを感じることもなかったですよね」

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 今国会に提出された「特定生殖補助医療法案」。第三者が提供した精子や卵子を使った不妊治療のルールを定め、「出自を知る権利を保障する」のが目的だ。

 生殖補助医療は技術の進歩に伴って広まってきた一方、商業主義などにつながりかねない危うさも指摘され、長い間、法整備が求められてきた。

 だが、今回の法案では、同性…

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