地面を丁寧かつ慎重に掘り進み、発掘した出土品から古代の様子を探る考古学をめぐっては、ロマンを感じる方と、そうでない方に分かれるかもしれません。
しかし、好き嫌いに関わらず、縄文土器といえば何となく写真で見たり、芸術性の高い形はイメージできたり。どこの人かは知らなくても、エドワード・モースと聞けば、最初に発見した人だというかすかな記憶をよみがえらせたりする方も多いのでは。
実は、6月18日(この日は偶然モース博士の誕生日)は、モース博士が1877(明治10)年に来日した日。いまは「考古学出発の日」とされています。彼はアメリカ人ですが、考古学者ではなく、動物学者でした。
あのダーウィンの「進化論」を日本に紹介したのはモース博士なのです。来日の翌日に横浜から新橋に向かう汽車の車窓から大森貝塚を発見し、日本で初めての本格的な発掘調査を行い、日本史に名を残すことになりました。遠く離れた九州で、西郷隆盛が新政府軍と激戦を繰り広げた西南戦争のまっただ中のことでした。
モース博士が見つけた大森貝…