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つくば秀英を完封した浦和実のエース石戸颯汰
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(28日、高校野球 秋季関東地区大会準々決勝 埼玉・浦和実2―0茨城・つくば秀英)

 凡退した相手打者が不思議そうに首をひねった。時速120キロ前後の直球を、捉えられない。浦和実のエース左腕・石戸颯汰がつくば秀英を4安打完封し、関東大会の4強入りを決めた。

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 「球の速さは出ない。違うところで勝負したい」

 茨城王者を幻惑したのは、変則フォームだ。セットポジションから始動。右ひざをあごの高さまで引き上げ、テイクバックは腰をかがめるように沈み込む。右手のグラブで左腕の出どころを見えにくくしながら、上手で投げ下ろす。

 球速80キロ~120キロの4球種を投げ分けると、打者のタイミングはことごとく外れた。2試合連続無失策のバックにもり立てられながら、ひょうひょうとした表情で最後まで投げきった。

 「山場だと思っていたので結構うれしい」。来春の選抜大会の関東・東京地区の一般選考枠は6。出場へ大きく前進した。

 創部49年目。埼玉県内では安定して上位に進出する実力校でプロ選手も輩出している。だが、春夏通じて甲子園には立てていない。今秋は埼玉県大会を初制覇し、関東大会出場は24年ぶりだ。

 今秋は夏までのチームでも主力だった石戸と捕手の野本大智のバッテリーが中心。埼玉県大会準々決勝で選抜優勝経験のある浦和学院を石戸の完封で下し、「執念で守り勝つ」野球に自信を深めて今大会に臨んでいた。

 石戸は興奮を押し殺しながら言った。

 「甲子園は一流の高校球児が集まるいい場所。まだ(選抜出場は)確定しているわけじゃないんで、関東大会をしっかり戦っていきたい」(大宮慎次朗)

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