戦時中の水没事故で183人が死亡した山口県宇部市の海底炭鉱「長生(ちょうせい)炭鉱」に残る遺骨の収集をめぐり、厚生労働省が潜水などの専門家への聴取を始めた。同省は安全性への懸念などから遺骨収集に消極的だったが、石破茂首相の国会答弁を受けて聴取に着手した形だ。
遺骨収集をめぐっては、市民団体「長生炭鉱の水非常(みずひじょう)を歴史に刻む会」(刻む会)が調査を主導し、国の支援を求めてきた。これに対し、首相は4月の参院決算委員会で、「どういう支援を行うべきかは、政府で検討したい」と答弁した。
厚労省人道調査室によると、聴取は潜水のほか、鉱山や構造物の専門家らから行っており、「専門的知見の蓄積を図っている段階」としている。20日、聴取の実施を刻む会側に伝えたという。