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 大雨で河川が氾濫(はんらん)した際に浸水の恐れがある地域に住む人は、全国で約2594万人(2020年)と、過去20年間で約90万人増えたことが朝日新聞のデータ分析で分かった。気候変動の影響で大雨が増える中、全人口の約2割が水害リスクのある土地に住み、専門家は安全な地域への居住誘導の必要性を訴える。

全国の市区町村マップ

記事の末尾には、あなたが住む市区町村の浸水想定区域内の人口割合や、過去20年間の増減数がわかる全国マップを掲載しています。

 分析したのは、全国の3万以上の河川のうち、主に流域面積や洪水時の被害が大きな約3千河川で、河川整備の目標とすることが多い「100年に1回程度」の大雨により浸水が想定されるエリア内の人口。国土交通省の国土数値情報に掲載されている「洪水浸水想定区域」(23年度版)と、国勢調査の人口データ(00~20年)を元に推計した。

 それによると、20年の日本の全人口は最多だった10年から約1.5%(約191万人)減った一方、浸水想定エリアの人口は20年までの過去20年間で約3%増え、約2594万人となった。

 うち1階が水没する浸水想定3メートル以上の地域の人口は約257万人で、約7万人増えた。2階も水没する浸水5メートル以上の地域の人口は約26万人に上る。

 浸水想定エリア内の人口が最も多いのは東京都の約415万人で、都民の3割弱を占める。浸水3メートル以上は約92万人だった。

 埼玉県(約277万人)、神奈川県(約170万人)、愛知県(約160万人)、兵庫県(約140万人)と続き、20年間で20都道県が増加した。

 高度経済成長期以降、ダムなどの治水対策により、浸水リスクがある低地の開発が進み、相対的に地価も安価なため、人口が流入した。また、現在は一部規制が強化されたものの、00年の都市計画法の改正で、住宅の建設が原則禁止される市街化調整区域でも、自治体が条例で定めた地区は例外扱いとされたことも影響した。

 防災に詳しい日本大学の秦康範教授は「人口流出を懸念して浸水想定エリアの開発抑制に消極的な自治体がある一方、毎年のように水害が起きるなか、ダムや堤防など従来のハード対策では不十分だ。安全な場所にある空き家を活用して居住誘導するなど、災害リスクを踏まえた土地利用を進めるべきだ」と話す。(東郷隆、石井奏人)

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