新春恒例の行事、消防の出初め式が、姿を消し始めている。消防団員のなり手が減り続ける中、各地で団員の負担を軽くする「働き方改革」も進んでいるためだ。一斉放水やはしご登りといった出初め式でおなじみの風景に代わり、将来の団員確保もにらんだPR活動が広がっている。
愛知県知立市の消防団は19日、これまでの出初め式に代わり、名鉄知立駅前広場で「新春消防団フェス」を初めて開いた。子どもを含む市民が訪れ、子ども消防服試着体験や消防車との記念撮影、濃煙テントや水消化器の体験などをした。すべて回ると景品がもらえるスタンプラリーや、消防関連のおもちゃが入ったガチャガチャもあった。
例年の出初め式は団員の行進と一斉放水が主な内容。しかし、昨年1月7日に予定されていた式は、一緒に参加する消防署員の多くが元旦の能登半島地震の救助などの支援に向かったため中止に。団は「うまく世代交代ができておらず、長く務めてもらっている人につい頼ってしまっている状態」(市安心安全課)だったが、式の中止は活動のあり方を見直すきっかけにもなった。
同市の消防団は例年、12月28~30日に火災の警戒で午後9時~午前1時に詰め所に待機する。年明け早々に出初め式があると、準備も含めて年末年始は家族とゆっくり過ごす時間もない。団長の公文(こうぶん)保さんは「自分も過去に娘の成人式に出られなかった。団員の負担を軽減し、代わりに市民へのPRや、家族にも楽しんでもらって自分たちの活動を理解してもらう場にした方が良いと考えた」と話す。
同県碧南市の消防団も昨年1…