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記者会見する兵庫県の斎藤元彦知事=2025年5月8日午後2時53分、神戸市中央区、添田樹紀撮影

 兵庫県の内部告発文書問題に関する斎藤元彦知事の発言に対し、公益通報者保護法を所管する消費者庁が「公式見解と異なる」と指摘したことについて、同庁の新井ゆたか長官は8日の定例会見で「一般的な(法の)解釈基準として助言した」と説明し、「自浄作用を働かせていただきたい」と語った。

 斎藤知事は同日、定例会見で、消費者庁の指摘について「真摯(しんし)に受け止めたい」と述べた。ただ、内部告発文書問題を調べた県議会の調査特別委員会(百条委員会)で、一部の弁護士が外部通報は体制整備義務の対象にならないという趣旨の意見を書面で出したことなどを引き合いに「(法解釈には)様々な考え方がある」として、発言の修正はしなかった。告発者を特定し、懲戒処分した県の対応は「適切だった」と改めて主張した。

 斎藤知事は3月26日の会見で、同法が定める通報者保護の「体制整備義務」の対象を「内部通報に限定されるという考え方もある」と発言。消費者庁は4月8日に県にメールを送り、外部通報も対象だと指摘していた。

 斎藤知事らを告発する文書は昨年3月、県庁内部の公益通報の窓口ではなく、一部の報道機関や県議に送られた。県の第三者調査委員会は今年3月、県が通報者を元西播磨県民局長だと特定し、文書の作成・配布を理由に懲戒処分した点を「違法」と認定した。

 公益通報者保護法は事業者などに対し、通報者に対する懲戒処分などの不利益な取り扱いを防ぐための体制整備義務を定めている。通報者を捜すことも禁じている。通報には、組織内の相談窓口などに行う内部通報や、報道機関などに行う外部通報がある。

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