全国有数のスノーリゾート地として知られる長野県白馬村は、深夜の花火や空き缶のポイ捨てなどに罰金を科す方針を決めた。インバウンド(訪日外国人)などで観光客が増加していることに伴って、迷惑行為が止まらず、冬のスキーシーズンが本格化する12月議会までの条例制定を目指す。
村は2015年に「美しい村と快適な生活環境を守る条例」(通称・村マナー条例)を定め、深夜の花火▽空き缶のポイ捨て▽路上でのスキー▽歩行中の喫煙や飲酒などの迷惑行為を禁じた。
だが、インバウンドの急増を背景に村の観光客は増加。15年の約231万人から24年は約271万人となった。村内の外国人宿泊者数は、15年の延べ約10万人に対し、23年は2・5倍の延べ約25万に上った。
これに伴って、電柱への落書きやステッカー貼りなど、当時は想定しなかった行為が目立つようになった。さらに深夜の路上での大騒ぎや冬タイヤの未装着なども問題となり、村民や観光業者から法的拘束力を強めるよう求める声が上がったという。
村は従来の条例を全面的に作り替え、新たな問題に対応する項目を追加。禁止事項をしたり、村の中止命令に従わなかったりした場合に5万円以下の罰金を科す。
罰則規定を設ける理由について、田中克俊・村総務課長は「条例でいきなり取り締まるわけではなく、違反者に対してより強く注意できるようにするため」と説明する。
地方自治研究機構によると、「マナー条例」は、白馬村も含めて全国の20市区町村での制定が確認され、福岡市や京都市、東京都大田区などが罰則を設けている。
新たなマナー条例案で盛り込まれる主な禁止事項
・【新】落書きやステッカー貼り
・深夜の花火
・【新】深夜の騒音
・路上スキー
・歩行中の飲酒や路上喫煙
・午前2~6時の酒類提供
・【新】冬タイヤの未装着など迷惑運転
・無断駐車
※【新】は新条例案で新たに盛り込まれる禁止事項
※これまでの条例であった「空き缶などの投棄禁止」は、「快適な環境づくり条例」案に盛り込まれる予定