新種のエビ「カブキドウケツエビ」=沖縄美ら海水族館提供

 千葉県立中央博物館(千葉市)は、同博物館の課長と沖縄美ら海水族館(沖縄県)の飼育員との共同研究グループが、新種のエビを発見したと発表した。半透明の体に赤い線の模様などの特徴があることから「カブキドウケツエビ」と名付けられた。

 同博物館によると、カブキドウケツエビは2014年8月、同水族館が深海調査で採集した。その後、同博物館の駒井智幸・地域連携課長兼研究課長が新種かどうかを調べ、今年3月に国際学術雑誌「Zootaxa」に新種を発見したとする論文を載せた。

 14年の深海調査では水深286メートル地点で雌雄1対が見つかった。雄の頭部の大きさは9.1ミリで、カブキドウケツエビが分類されるドウケツエビ属の中では比較的大型だ。

 ドウケツエビ属は、白っぽい半透明の体で、海綿類の中に雌雄1対で生息することで知られる。一方、カブキドウケツエビは半透明の体に赤い線が入っており、サンゴの仲間が作る袋状の空間で雌雄1対で過ごす。

 このように、他のドウケツエビ属とは違った型破りな行動をする者という意味の「傾奇(かぶき)者」と、歌舞伎役者の化粧を連想させるような模様をかけて、和名をカブキドウケツエビと決めた。その後の調査ではカブキドウケツエビは採集されておらず、珍しい種だと考えられるという。

 これまで約420種の新種発見に関わってきたという駒井課長は「カブキドウケツエビには、これまで見たことのない特徴があり、一目で新種かもしれないと思った。新種を見つけた時は、私だけが知っているという喜びを感じる」と今回の発見を喜んだ。

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