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天理との準決勝の五回、中村奨成は左中間にこの試合2本目の本塁打を放つ。これがこの大会6本目で、1大会の個人最多本塁打記録を塗り替えた=2017年8月22日、阪神甲子園球場、林敏行撮影
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 1大会6本塁打で大会記録を塗り替えただけではない。それまでの記録が、第67回(1985年)の清原和博さん(大阪・PL学園)=元西武など=の5本塁打だったことも衝撃を大きくした。

 2017年の第99回全国高校野球選手権大会。中村奨成(広島・広陵)は左から右まで広角に打ち分け、価値の高い一発を積み重ねた。

 1本目は1回戦に放った。伝統校の中京大中京(愛知)にリードを許していた六回、チーム初得点をもたらす右越えのアーチ。3本目は3季連続4強だった秀岳館(熊本)との2回戦の九回に3ラン。3回戦の聖光学院(福島)戦の九回に放った2ランは勝ち越し打だった。

 4本塁打で迎えた天理(奈良)との準決勝。一回にバックスクリーンに運ぶと、五回は左中間席へ同点ソロを打ち込んだ。

 好調の要因について中村は、当時の取材に「不思議な感覚。憧れの場所で力が出るのは、甲子園の力かな」と語っている。

 中村は、打点と塁打で1大会個人の大会記録を樹立。安打と二塁打も最多タイ記録を達成した。

 ただ、チームは決勝では花咲徳栄(埼玉)に打ち負け、初の深紅の大優勝旗には手が届かなかった。

 「勝って記録を喜びたかった。でも、最高の仲間と来られたことが一番」と振り返った。

 この年の秋のドラフトで地元の広島東洋カープから1位で指名され、入団した。

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