2035年度の新たな温室効果ガス削減目標(NDC)について、浅尾慶一郎環境相は7日の会見で「期限までに提出することは困難」との認識を示した。目標は10日までに国連の気候変動枠組み条約事務局へ提出することが求められている。
浅尾環境相は「期限は順守していくべきだという風に思うが、パブリックコメントでいただいた意見を今精査しているところ」と話した。
35年度の削減目標については、政府が13年度比60%減とする案をまとめ、1月下旬までパブコメを実施していた。この案は、政府が掲げる50年排出実質ゼロに向けて直線的に排出量を減らした場合の経路上にある。
目標案を議論してきた環境省と経済産業省の合同審議会では、この数値でも達成は難しいとの声が出た一方、先進国としてさらに数値を引き上げるべきだとの指摘もあった。パブコメには3千件を超える意見が届いているという。
同省と国立環境研究所、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6日、衛星「GOSAT」による観測では、地球全体での23~24年の二酸化炭素(CO2)濃度が年間3.5ppm増加し、算出可能な11年以降で最高だったと公表した。浅尾環境相は「危機感をもって受け止めている」と話した。