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 日本で最も涼しい北海道が「暑い」。6月には梅雨前線が道内で大雨を降らすなど、これまでの天気の常識が通じなくなっている。9年ぶりの台風上陸も見込まれるなか、台風研究で知られる北大卒の気象学者、坪木和久・名古屋大学教授に、温暖化がもたらす北の天候の変化を尋ねた。

写真・図版
日本人で初めて航空機によるスーパー台風の直接観測に成功した名古屋大学の坪木和久教授=2025年6月24日午後3時8分、名古屋市、日浦統撮影

 ――7月としては23年ぶりの台風の北海道への上陸が15日に見込まれています。コンパクトで移動速度が速く、強風や高波が警戒されています。

 「台風5号は雨も心配です。2016年の9号、11号のようなことになる可能性があります。大気の『川』が台風とともに北海道に上陸する可能性があり、場合によっては線状降水帯が発生する可能性もあります。厳重な注意が必要です」

 ――これも温暖化の影響ですか?

 「温暖化が進むと、大気中の水蒸気の量が増えて豪雨や積乱雲、台風が発生しやすくなります。海の温度も上昇し、積乱雲や台風のエネルギーは強くなり、豪雨は激しくなる。台風は高緯度の日本列島に近い海で発生したり、勢力を維持しやすくなったりします」

 「2016年は北海道に根室半島付近をかすめたものも含めると、4個の台風が上陸した特異な年でした。記録が残る1951年以降、太平洋側から直接北海道に上陸した台風は7、8個しかなく、その約半分がこの年に上陸しました。ただ、これからは特異とは言い切れなくなります。長期シミュレーションによれば、近未来はこういった台風が上陸し、勢力はより強くなるからです。北海道は日本海側から台風が上陸するケースが多かったのですが、これからは太平洋側から上陸する台風にも気をつけないといけなくなるでしょう」

 ――日本海から上陸する台風…

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