川端康成が友人の娘に贈った源氏物語の本=2024年7月4日、大阪府茨木市上中条2丁目の市立川端康成文学館、滝坪潤一撮影

 NHK大河ドラマ「光る君へ」で注目が高まる紫式部の「源氏物語」。文豪・川端康成(1899~1972)が源氏物語に寄せた思いの変遷をたどる企画展「川端康成と王朝文学 『源氏物語』への思い」が、川端が3歳から10代後半まで過ごした大阪府茨木市の市立川端康成文学館で開かれている。15日まで。

 川端が戦時中の1943年、友人の10代の娘宛てに「源氏物語およみ下さい」とつづった手紙と、実際に贈った源氏物語の書籍がある。

 川端はすでに「伊豆の踊子」「雪国」を発表していた人気作家。戦時色が強まるなか、注釈つきの源氏物語を読みふけっていた。

 文学館の高橋照美館長は「川端は『源氏物語にこれほど親しみを感じたことはなかった』と振り返っている。日本の文化そのものと感じ、若いうちに触れて欲しいと考えたのでは」と話す。

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