滋賀学園―有田工 一回表滋賀学園1死一、三塁、岡田は先制2点適時二塁打を放つ=加藤哉撮影

 第106回全国高校野球選手権大会は7日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕した。滋賀学園は、開幕試合で有田工(佐賀県)を10―6で破った。15年前は初戦敗退しており、夏は初勝利となった。2回戦は花巻東(岩手県)と大会7日目の第4試合で対戦する。日程が順調に進めば、13日午後3時45分から試合が予定されている。

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(7日、第106回全国高校野球選手権大会1回戦 滋賀学園10―6有田工)

 4―4で迎えた八回表無死満塁、9番打者の杉本晴基捕手(3年)が打席に立った。「なんとか一本打ちたい」

 2球で2ストライクと追い込まれる。そこで意外なことが起きた。相手が投手を代えた。打席の途中での投手交代は高校に入って初めての経験だ。

 心機一転、ファウルで1球粘り、変化球を中前にはじき返した。敵失も重なって6―4と勝ち越し。その後、好走塁で生還して8点目のホームを踏んだ。

 それまでの3打席は2犠打と中飛。仲間がつくってくれた好機をものにしたかった。

 滋賀大会は、上位打線が好調でチーム打率は3割6分2厘だったが、自身は2割2分2厘。甲子園に向けて低い打球を意識して振り続けた。

 1年の秋から背番号2。この日は、右のエース・脇本耀士投手(同)が四回途中で降板。救援した左のエース・高橋俠聖投手(同)をリードし、相手の反撃を抑えた。

 勝った一方で課題もあった。「もうちょっとインコースを打たさないと、次のレベルでは勝てない」。次戦を見据えた。(仲程雄平)

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(7日、第106回全国高校野球選手権大会1回戦 有田工―滋賀学園)

 滋賀学園の応援席では、駆けつけた生徒約250人を含む大応援団が声援を送った。

 滋賀大会では、ジャズオーケストラ部が演奏を担ったが、この日は、彦根東高校、中主中学校、愛東中学校の吹奏楽部などが加勢。約115人がジャズの曲などを奏で、応援団がエールを乗せた。

 ジャズオーケストラ部のバンドマスター渡辺樹希(いつき)さん(2年)は「少しでも選手の力になりたい」、彦根東の吹奏楽部部長の花本穂づみさん(同)は「(滋賀大会で敗退した)彦根東の分もがんばって」、チアリーディング部キャプテンの丸山悠月さん(3年)は「めっちゃ緊張するけど、勇気を与えたい」と話していた。

 応援団のテンションは、初回に3点先制していきなり最高潮に。応援団長の荒井浩志さん(同)は「やばい、あつい!」と興奮していた。(仲程雄平)

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 ○門田侑也主将(滋賀学園) 「開幕試合で、観客や球場の雰囲気を感じてからグラウンドに立つことができた。慣れというか、やりやすいと感じた」

 ○山口達也監督(滋賀学園) 「五回の仲田の同点打が非常に大きかった。最後は気持ちと気持ちのぶつかり合いのようなゲームだった」

 ●前田壮梧主将(有田工) 「緊張することはなかったが、後半、自分たちのミスから失点した。相手の応援がすごく、のみ込まれてしまった」

 ●梅崎信司監督(有田工) 「本来、守りで勝つチームにあそこまでエラーが出てしまったのが悔しい。ただ、最後は粘って意地を見せてくれた」

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 開会式で滋賀学園の選手たちは最後に入場行進した。開幕試合を戦うチームの暑さ対策として、今大会から導入された。選手たちは開会式を終えると、そのまま三塁側ベンチに入って試合に備えた。(仲程雄平)

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