「ナシ(米)を食べていなければ食事ではない」――。まじめにそう話す人も珍しくないほど、インドネシア人の食事に米は欠かせない。その米を使った代表的料理が日本でも市民権を得て久しいナシゴレン。ジャカルタには「Nasi goreng」の看板だらけの路地も少なくない。

 中でも「ナシゴレン・カンビン・ケボンシリ」は夕方の営業開始とともに客が殺到する人気店だ。日本の焼きめし、中国のチャーハンに相当するこの料理に一家言持つ人は多い。100人いれば100通りのナシゴレンが存在する中、激戦区ジャカルタ中心部で70年近く存在感を放ってきた。

 伝統の味を守るのが、ネインさんが抜き打ち的に店を訪れて行う試食だ。調理場に並ぶ大鍋に近づくと、完成したばかりのナシゴレンをひとすくい。よくかみしめてから、「大丈夫」と満足そうにうなずいた。

調理場に立つネニー・ネインさん(左)。毎食ナシゴレンを食べるわけではないという=ジャカルタ、河野光汰撮影

分量を間違えたら別の料理になる

 創業した両親からの教えはこ…

共有
Exit mobile version