熊本大学の広報誌製作を請け負う熊本市の広告会社の女性社員が、熊本大の広報担当の男性職員からパワーハラスメント行為を受けたとして、会社が契約の解除を申し出ていたことがわかった。熊本大は10日、取材に対して申し出があったことを認め、調査委員会を立ち上げたことを明らかにした。
同社は、昨年3月から2年間の契約で年4回発行の季刊誌の製作を受託。同社によると、女性は編集や取材を担っていたが、遅くとも昨年10月以降、学内で取材中に男性職員が取材対象者と女性の間に割り込んで中断させたほか、女性からの取材日程の変更などの相談に対して対応を非難するような内容のメールを送るなどしたという。
同社は不適切な対応が繰り返されているとして今年3月、大学側に改善を求めて申し立てた。その後、契約を続けられないとして契約解除を申し出たが、その書面に変更理由としてパワハラによる旨を記載してほしいと求めたものの、大学は応じていないという。
同社の社長は、女性の勤務態度に問題はなかったとした上で、現場や、送られたメールの文面を通じて大学の他の関係者も行為を確認できた上、申し立て後にも速やかに改善がなされなかったとして「組織としてのスタンスが問題。契約を辞退せざるを得ない事態になり残念だ」と話した。
熊本大は10日の会見で、2日に同社に対し、担当の理事が「相手の方を傷つけた」として謝罪したと説明。パワハラに当たるかどうかは9日に立ち上げた、学外の弁護士などが入る調査委員会で聞き取りなどをもとに調査を進めるとしている。小川久雄学長は「調査委員会できちんと調べていく」と話した。(杉浦奈実)