My吹部seasons

練習する国本女子中高=2025年5月10日、東京都世田谷区、オザワ部長撮影

 昨年度の東京都吹奏楽コンクール(都大会)・高校の部で、注目を集めた学校がある。55人まで参加できる大会に半分以下の27人で出場し、金賞を受賞した私立の国本女子中学校・高校吹奏楽部(世田谷区)だ。

 演奏したのは《メルヘン》(酒井格)と《交響曲第3番》(ジェームズ・バーンズ)。両曲とも表現の豊かさが抜群で、ときおり部員たちの顔に笑みが浮かぶのも印象的だった。

 今年度、部活の中核を担う高校3年の浦口心嘉(このか)(サクソフォン)はこう振り返る。

 「気持ちの乗せ方、楽器を使った歌い方が評価されたのかなと思います。金賞を受賞したときのことは、あまりにうれしすぎて記憶がまったくありません」

 同校が大編成部門の都大会に初出場したのは2019年。昨年度は創部初の金賞を受けた。

 顧問の鈴木文雄教諭は毎回、都大会の表彰式は他の顧問や部員たちに任せ、会場を出るのが決まりになっている。ひとりで散歩をしながら、電話で結果が知らされるのを待つのだ。

 「昨年は電話で金賞だったと聞き、驚きました。『あの子たち、たった27人でそこまで来たんだ』と、感慨深くて思わず涙が出たのを覚えています」

【連載】My吹部Seasons

吹奏楽作家のオザワ部長が各地の吹奏楽部を訪ねます。

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