第15回牧水・短歌甲子園で初出場初優勝した宮崎県立宮崎北高チーム=2025年8月10日午後0時16分、宮崎県日向市中町、星乃勇介撮影

 全国の短歌好きの高校生が腕を競う「第15回牧水・短歌甲子園」が9、10の両日、宮崎県日向市で開かれた。1都14県から25校50チームが参加。県立宮崎北が初出場初優勝を果たした。

 同市出身の国民的歌人・若山牧水の顕彰行事の一つで、若い歌詠みを応援し関係人口を増やすのが狙い。チーム同士で歌を披露したあと、用語の適切さ、表現の巧拙について討論する。突っ込みの激しさから「文化系の甲子園」とも呼ばれる。

 宮崎北の3人は、歌作りはほぼ未経験で、授業で詠んだものがたまたま予選を通ったという。決勝では、青春の1コマを凝視した3首で競り勝った。メンバーの3年、岡田華音さん(18)は「なまじ知識がないから、相手の歌の長所も短所も見えたのかも」。

 準優勝は愛知の名古屋、3位は神奈川県立光陵、東京のNHK学園。来場者の投票で決まる個人戦の「牧水賞」は、福岡県立八女3年、熊谷涼那さんだった。熊谷さんは日向若山牧水顕彰会長賞も受賞した。

 審査員はいずれも歌人で、若山牧水記念文学館長の伊藤一彦さん▽俵万智さん▽大口玲子さん▽笹公人さん。その他の受賞者は以下の通り。=敬称略

 パフォーマンス賞 藤井綾音(光陵2年)▽若山牧水記念文学館長賞 重黒木俊陽(NHK学園3年)▽俵万智賞 近藤理仁(名古屋1年)▽大口玲子賞 牧水・短歌甲子園実行委員会賞 細田連太郎(同)▽笹公人賞 帯谷到子(尚学館2年)▽牧水・短歌甲子園OBOG会みなと賞 重黒木侑(宮崎県立延岡工2年)

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 【宮崎北】

 言いかけてやめた理由はなんとなく入道雲が止まって見えた 石田千夏

 手をぎゅっと握りしめてる君の癖気づいたわたし心摑まれて 岡田華音

 五十キロをベンチプレスで持ちあげて頭によぎるあの子は何キロ 海野漣

 【名古屋】

 つつがなく暮らせるように雨をかく(いつか雪かきする練習です) 福田匠翔

 共学化した高校の男女比がサウジアラビアくらいだってさ 細田連太郎

 将来のことは知らない知りたくない シンバルの人ずっと立ってる 近藤理仁

 【牧水賞】(個人戦)

 父はなぜ手相占い信じずに足つぼだけは信じ続ける 熊谷涼那

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