名目賃金と実質賃金の推移

 厚生労働省が5日発表した2024年の実質賃金は、3年連続のマイナスとなった。物価高に賃金上昇が追いつかず、家計は厳しさを増す。賃上げは大企業を中心に進んできたが、働き手の多くを占める小規模な事業所では十分に上がらない状況も顕著になっている。

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 「やりがいを感じて働いてきたけれど、20年間働いてきた報いがこれなのかと思う」

 東京都内の障害者福祉施設で働く女性(46)は、運営法人側からは2万円の賃下げを求められているという。いまの月給は額面35万円ほど。夫婦共働きだが、大学生2人を含む3人の子どもを育てており、余裕はない。賃下げの理由については若手の賃金を引き上げるためと説明されたが、「施設を支えてきたベテランへの仕打ちにがっかりだ」と語る。

 野菜などの食料品の値上がりは家計を直撃。「好物のめんたいこにも手が伸びなくなった」。外食や旅行も控えており、「何をモチベーションに頑張ればいいのか」と嘆く。より良い待遇を求めて転職を考える同僚もいるという。

物価上昇、3年連続で3%台

 実質賃金は名目賃金から物価…

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