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給食を盛りつける児童たち=2024年10月8日午後0時38分、愛知県日進市立赤池小学校、松永佳伸撮影

 衆院選に向けて、各政党や候補者が掲げる政策の一つが「学校給食費の無償化」だ。地域に目を向けると、来年度から給食費の値上げを検討したり、無償化を取りやめて一定の負担を保護者に求めたりと、物価高騰が直撃し、対応に苦慮する自治体の姿が見えてくる。

9年ぶりの値上げ

 愛知県日進市は今夏、来年4月から1食あたり小学生60円、中学生70円の値上げをする方針を決めた。これまで給食費は8年間据え置かれ、値上げは9年ぶりだ。

 こうした動きに市民から反発の声があがった。

 「全額無償化してくれと言っているわけではない。学習塾や習い事で苦しい家計を少しでも応援してほしかった」。小学生の子ども2人を育てる40代女性はそう話す。4152人分の署名を集め、値上げ分の公費負担を求める請願を9月、市議会に提出したが、委員会で不採択となった。

 学校給食法は、学校給食費について「保護者の負担とする」としている。今年度は、国からの臨時交付金で給食費を値上げせず据え置けたが、来年度以降はその交付金も見込めないという。

 市学校給食センターによると、物価高騰は「待ったなし」だといい、「給食の質、量を維持するために値上げはやむを得ない」と説明。保護者は月800円前後の負担増となる。

 市の試算では、学校給食費を無償化すると、年間約5億円の財源が新たに必要になる。日進市は地方交付税の不交付団体だが、市の担当者は「財政力指数は不交付団体ぎりぎりの状態で無償化は現実的ではない」という。

各地で進んだ「無償化」

 岸田文雄政権時代の少子化対…

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