粘土で作ったスナメリの模型を持つ塩川ゆうりさん。海の豊かさを知るイベントで、子どもたちも模型作りを体験したという=2025年5月23日午前11時46分、香川県土庄町豊島、渡辺杏果撮影

 国内最悪とされる産業廃棄物の不法投棄事件が起きた豊島(てしま)(香川県土庄町)。そこを拠点に環境保全活動に取り組むNPO法人「瀬戸内オリーブ基金」が、今年で設立25年を迎える。埼玉県出身で、島に移住した事務局長の塩川ゆうりさん(29)に活動の意義と展望を聞いた。

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 ――豊島には、兵庫県警が業者を摘発する1990年まで10数年にわたり、計91万トンもの産廃が持ち込まれました。住民と香川県の公害調停が成立し、県が廃棄物を島から完全撤去すると約束したのは2000年。基金ができたのはこの年です

 住民側の弁護団長だった中坊公平さんと建築家の安藤忠雄さんの呼びかけで設立されました。瀬戸内海や平和の象徴である「オリーブ」の名前を冠しています。豊島で起きた問題の教訓を伝えること、里山と里海を守るという軸を重視しています。

 産廃は19年までに撤去されましたが、処分地跡周辺の土地はかつて表層の珪砂(けいさ)が販売目的で採取されて、今も植生が貧弱です。木々の成長を促すために下草を刈るなどの活動をしています。瀬戸内海エリアの環境保全活動を支援し、これまでに495件の資金助成をしました。

 海ごみの問題にも取り組んで…

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