大分市の「府内大友氏遺跡」から見つかった犬形土製品。国の重要文化財に指定されている=2025年4月7日、大分市牧緑町

 安産の象徴とされる犬の土人形に込められた思いとは――。大分県立埋蔵文化財センター(大分市牧緑町)で開催中の企画展「犬形土製品と中世のいのり」。つぶらな瞳の人形を通じて、戦国大名・大友宗麟と豊臣秀吉の関係もうかがえる。

 大友氏の拠点だった豊後府内(現在の同市顕徳町周辺)の中世遺跡からは、犬形の土製品が約30点見つかっている。手びねりで、体長4.5センチ、高さ3センチ程度のものが多い。安産のお守り、と考えられている。

 同様の土製品は大坂城跡(大阪市)から大量に出土し、多くが秀吉の晩年にあたる1580~98年ごろのもの。大坂から各地へ運ばれたようだが、中でも豊後府内の出土数は近畿地方を除くと突出しているという。

 当時、大友氏は勢力を拡大する薩摩の島津氏に危機感を募らせていた。

 天正14(1586)年には…

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