(26日、第107回全国高校野球選手権神奈川大会準決勝 立花学園3―4横浜)
1点を追う九回表、2死三塁。立花学園の小峰爽太郎(2年)が三塁ゴロに倒れると、横浜スタンドから歓声があがった。
次打者の田畑智大(3年)は名残惜しそうに、そっとバットを地面に置いた。
準々決勝までの5試合で計69得点。強力な打線を誇るチームのなかでも、田畑の打率はチーム首位の5割8分8厘と、あたっていた。
この日も三回に安打を放ってチャンスを広げた。「打率は意識していない。自分が打てなくても、チームが勝てばいい」。一時3点リードし、選抜王者を追い詰めた。
田畑は昨夏の大会後に主将を任された。でも、どうしたらチームが勝てるかを「悩んで、考えすぎた」。調子を崩し、今年3月に後輩に主将を譲った。
「立場は変わったが、勝つというチームの目的に向けてやることは変わらなかった」
春の県大会で横浜に敗れ、「日本一」の基準を知った。「その基準で毎日練習してきた。フィジカルが明確な課題だった」。ウェートトレーニングを重ねて打力を強化した。大会に入っても、試合を重ねるごとに打力が伸びたという。
「最後まで(チームが掲げる)『ワイルドな野球』を貫けた。悔いはない」
泣き崩れる小峰に「お前はまだ(来年が)あるから、やるしかない」と肩をたたいた。「横浜を倒して、頂点を取ってほしい」と、後輩に思いを託した。