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委員会で意見を述べる湯浅六花さん=2025年1月21日午後5時46分、京都府宇治市、北川学撮影
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 京都府宇治市の中学生が、市立中学校の校則のあり方についての請願を市議会に提出した。その審査が21日、文教・福祉常任委員会であった。本人も出席して意見を述べたが、委員会は「保護者や学校、地域が子どもの声に耳を傾けて新しいルールを考えてほしい」として、賛成少数で「不採択とすべき」と決めた。29日の本会議で正式に不採択となる見通しだ。

 請願したのは市立中学校3年の湯浅六花(ろっか)さん(15)。市立中学校で校則を作るにあたり、①さまざまな立場の生徒も交えてルール作りができる土壌をつくる②生徒が自主的に行動できる雰囲気を市全体でつくる③作成に至った経緯も含めてホームページに掲載する――ことを市や市教育委員会に求め、昨年12月に請願を提出した。

 参考人として出席した湯浅さんは一番伝えたいこととして、「もっと子どもの意見や考えを受け入れる寛容の雰囲気を宇治市全体で作ってもらいたい」と述べた。

 委員からは「まずは学校に提案しないのか」「なぜ請願という方法を採ったのか」といった質問が出た。

 湯浅さんは「学校の先生とは何回も話し合いの機会を持っている。今回の意見陳述に関しても担任の先生から背中を押してもらっている」

 「私の学校だけが変わっても意味がない。宇治市の学校全体で変わっていく必要がある」

 「これから中学校生活を送る子どもにとっても、早く変化が起きてほしいと思って請願という方法を採った」などと答えた。

 質疑では共産党の委員が「SNSを通じて色んな誹謗(ひぼう)中傷がされて、人権に関わるような問題が起きている」として、実名で意見を述べた湯浅さんに「リスクは絶対にあってはならない」と発言した。これには会派を問わず、委員全員が大きく頷ずいた。

 湯浅さんは、中学1年のころは府外のインターナショナルスクールに通った。校則はなく、服装は自由。「その中で生徒はルールや約束事を作って守っていた。問題が出てきたらその都度話し合い、新しいルールを決める」という経験をした。自身も髪を赤や黄に染めていたという。

 2年からは地元の市立中学校に通学。生徒指導の先生から「髪を染めてはいけない」「ピアスはだめ」と身だしなみの指導はあったが、理由の説明はなく、校則を書面で見たこともないという。

 こうしたことから「校則やルールが明文化され、どんな立場の生徒も異議を唱えることができ、その都度、ルール作りの議論ができる風通しの良い環境を、宇治市全部の公立中学校に求めたい」と考えた。

 湯浅さんが提出した請願には、このようなことも記されている。

 「『予測不可能な時代』と言われるこれからを生き抜くために、私たち生徒は、『自らの責任のもと、自らの意思や判断に従って行動する力』つまり『主体的に行動できる力』を身に付けることが必要だと考えています」

 「多様化する社会の中で、一方的に決められたルールに従っているだけでは、学生時代の価値観にとらわれ続け、ロボットのような大人になってしまうかも知れません」

 湯浅さんは委員会の終了後、報道陣の取材に応じた。「自分の気持ちを自分の言葉でしっかり伝えることができて、うれしかった。不採択は残念だが、自分の感じてきたことを話した結果。これからも、自分が望んだ形になるように自分の気持ちを伝えていければ」と話した。

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