由紀さおりさん=鬼室黎撮影
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 由紀さおりがデビュー55周年の今年、「新しいわたし」と銘打って大阪や岐阜、パリなど各地でコンサートを開く。そこでは、三味線を弾きながら都々逸も披露する。日本語の歌の「豊かな情感」をいかに表現するか追求してきた由紀にとって、ここ数年で、三味線は新たな「相棒」になりつつあるという。

 幼い頃から童謡歌手として活動し、1969年に歌謡曲「夜明けのスキャット」でデビュー。80年代から再び姉の安田祥子と童謡・唱歌を歌ってきた。2011年には米国のジャズオーケストラ、ピンク・マルティーニと共演したアルバム「1969」が世界的にヒット。自身の曲や、他の歌手の名曲の大半を日本語で歌った。「(ピンク・マルティーニのリーダーの)トーマスは私の歌謡曲が好きだったわけよ。日本語の歌謡曲を歌ってきたということは、私にとってすごく誇りなの」

 日本語の「たおやかな語感」には言語の壁を越える力があると、由紀はみる。その味わい深さを、親が子に昔話を読み聞かせるかのように歌に乗せて伝えるために、歌詞のイントネーションや間合いを工夫して歌ってきた。

 だが、どうしても伴奏のリズ…

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