土屋海旺さん(17)は昨秋、約4年ぶりに復活した岡山県立高梁城南高校(高梁市)軟式野球部のエースとして中国大会で準優勝を果たし、5月に兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開かれる軟式交流試合の西日本選抜チームに選ばれた。
「いいところまでいけば、甲子園でやれるかもしれないと聞いていて、投げたいなと思っていた。めっちゃうれしかったです」。一時は、甲子園も野球もあきらめていたが復活した。
同県総社市出身の高校2年生。野球を始めたのは、小学1年生のとき、友達に「選手が足りないからチームに入ってくれ」と頼まれたのがきっかけだ。1年生がいきなりレギュラーになるような小所帯のチーム。左投げということで、早々と投手を任された。
総社西中でも投手を続けたが、立場は2番手から3番手。中学3年の秋には肩が痛くてほとんど投げられず、硬式の強豪校への進学をあきらめ「野球をしないなら近くでいいかな」と高梁城南を選んだ。軟式野球部が部員不足で廃部になっていたことは知らずに。
ところが高校1年のとき、クラスメートが野球経験者に声をかけて同好会を結成。人数が少なくて試合はできなかった。昨春、1年生が加わってやっと部に昇格した。昨年8月、初めて練習試合をし、ほぼ1年半ぶりに試合で投げた。肩は痛くない。球速も上がっていた。
初の公式戦となった秋の県大会は、初戦で優勝候補相手に2安打完投。準決勝は延長10回を粘り抜いて完封した。中国大会でも2試合連続で160球以上を投げて完投勝ち。決勝でも好救援を見せた。
170センチ、61キロと小柄だが、関節の柔らかさをいかした力みのないフォームが目を引く。「ピンチの時にギアを上げて、冷静に投げられるのが持ち味」という。
この冬の課題は、スライダーしかない変化球の種類を増やすことと、牽制(けんせい)の技術の向上。「甲子園では西日本代表として恥ずかしくない投球をしたい。夏は全国選手権があるので、これにも出たいです」
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〈春の軟式交流試合 in 甲子園〉全国高校軟式野球選手権大会が今夏に70回を迎えることを記念し、東日本と西日本の選抜チームによる交流試合が5月5日に阪神甲子園球場で開催される。それぞれ選手25人、記録員1人を選出してチームを編成。岡山からの選出は土屋海旺さんのみ。