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 甲子園で浴びた一発をきっかけに、進路を変えて米国トップクラスの大学に進んだ元球児がいます。奈良・天理高出身の輪島大地さん(24)は昨春、カリフォルニア大学(UC)バークリー校を卒業しました。野球漬けの日々を過ごしてきた輪島さんの前にまず立ちはだかったのがbe動詞からの英語のやり直し。しかし、それを乗り越えた後、同級生からの問いに答えられなかったときにもっと大切なことに気づいたと言います。

挫折をきっかけに決めた覚悟

 ――野球をやめたきっかけを教えてください。

 2017年夏の全国選手権に、天理高の控え投手として出場しました。準々決勝の明豊(大分)戦で九回裏にマウンドを託され、代打に満塁本塁打を打たれたんです。大会史上初の「代打満塁本塁打」だったそうです。大量リードしていたので試合には勝ちましたが、家族や友人にふがいない姿を見せました。「ああ、違う道に進もう」と思いました。

 父は大相撲の元横綱、輪島大士(故人)です。父のように競技人生でお金を稼ぐタイプではないと感じました。

 ――なぜ海外の大学をめざしたのですか。

 世界で活躍するビジネスマンに漠然としたあこがれがあり、「英語を流暢(りゅうちょう)に話せたらかっこいいな」くらいの気持ちでした。部を引退した秋、野球推薦で大学に進む同級生がグラウンドで練習するのを横目に、奈良から電車で大阪や京都の留学仲介会社を訪ねて回りました。米国の2年制大学で優秀な成績を修めれば、より良い大学に編入できると知り、挑戦してみようと決めました。

まずは勉強法の見極めが大切

 ――英語は得意だったのですか。

 be動詞も分かりませんでした。高校時代は甲子園に行くことだけを考えていて、授業はまじめに受けていませんでしたから。2年制大学に入るにはTOEFLの一定以上のスコアが必要で、留学までの半年余り、1日10時間以上も勉強するようになりました。

 ――どう取り組んだのですか。

 最初のテキストは中学1年生…

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