市職員の自殺を巡る訴訟について、市議会の議決を受け控訴断念を表明した樋口雄一・甲府市長=2024年11月1日、甲府市役所、米沢信義撮影

 甲府市職員だった男性が2020年に長時間労働による過労などで自殺したとして、損害賠償の支払いを市に命じた甲府地裁判決を不服として市が控訴するための議案が1日、市議会本会議で反対多数で否決された。樋口雄一市長は本会議の終了後、報道陣に「議決を重く受け止め、地裁の判決に従う」と控訴を断念する意向を示した。

 判決によると、向山敦治さん(当時42)は、事務効率課の係長として非常勤職員の定員管理の取りまとめを担当していた20年1月17日、自殺した。

 判決では、向山さんが亡くなる直前2カ月の時間外勤務が月148~209時間に及んでいたと認定。向山さんが過重な業務で何らかの精神疾患を発症したとし、市の注意義務違反から自殺に至ったと認め、市が向山さんの両親に対して約5800万円を支払うよう命じていた。

 これに対し、市は控訴する方針を表明。樋口市長は、この日の市議会臨時会で「判決には市が主張してきた当時の勤務状況や職場環境に関する実態が反映されていない」などと述べ、控訴するための議案を提案した。

最大会派の自民系から異論、市長「上級庁の判断仰ぐのも役割」

 だが、議案を審議した市議会…

共有
Exit mobile version