大正時代、生活を守ろうと女性たちが動いた「米騒動」で知られる富山県魚津市に、当時の姿をとどめる米倉が残る。地元の人らが望んできた国文化財への指定を目指し、市は今年、取得に乗り出した。
同市本町の海沿いに旧十二銀行(北陸銀行の前身の一つ)魚津支店の倉庫(米倉)が立つ。板張りにしっくい塗りの倉の裏、しんきろうロードと呼ばれる県道に出ると、すぐ目の前が海岸線。辺りはかつて米の積み出しで栄え、騒動の舞台にもなった。米倉や支店事務所だった建物と土地は現在、民間が所有する。取得に向けて市は今年度、調査費など3780万円の予算を組んだ。
市教育委員会発行のリーフレットなどによると、大正7(1918)年7月、米の高騰に苦しむ漁師の妻たちは、県外への積み出しをやめさせようと話し合った。地元に米が少なくなると、価格が上がると考えた。米倉が並ぶ海岸に集まり、船積み作業の人の着物や米俵につかまったり、運送業者にかけあったり。結果、積み出しは中止された。
同様の動きは今の富山市や滑…