1954年公開の映画「ゴジラ」のモノクロ映像をAI(人工知能)でカラー化した海賊版DVDを販売したとして、大阪府警は17日、大阪府豊中市のアルバイト、宮本一平(いっぺい)容疑者(66)を著作権法違反(侵害とみなす行為)容疑で逮捕したと発表した。容疑を認め、「カラー化して売るまでの作業はパソコンを使って1人でやった」と述べているという。
生活経済課によると、逮捕容疑は昨年11月、不正に複製された映画「ゴジラ」のDVD1点をフリマサイトを通じて東京都内の男性に販売し、制作会社「東宝」(東京)の著作権を侵害したというもの。
映画の元の映像は白黒だが、DVDではカラー化されており、宮本容疑者は「AIが搭載された市販の動画変換ソフトを使ってカラー化した」と説明しているという。
宮本容疑者が運営するサイトでは、「ゴジラ」のほかにも多数の往年のモノクロ名画が販売されていた形跡があり、「銀幕シネマをカラーに変換(著作権保護期間終了作品対象)」などと宣伝されていた。
また、複数のフリマサイトでも同種のDVDを「合法」とうたって1枚約3千~約3万円で出品していた形跡があり、府警は昨年1月~今年5月に計約170万円の利益を得ていたことを確認したという。
今年1月、海賊版対策を進める一般社団法人「コンテンツ海外流通促進機構」(東京)から府警に相談があり、東宝が2月に告訴していた。
54年公開の「ゴジラ」はシリーズ1作目で、著作権法上の「著作者」にあたる監督の本多猪四郎氏は93年に亡くなった。
映画の著作権の保護期間は、現行法(71年施行)では「公開後70年間」とされる一方、同作のように施行前に公開された映画については、旧法(1899年施行)が規定する「著作者の死後38年間」と比較して、より長い方が適用される。このため、府警は「ゴジラ」の著作権の保護期間が2031年まで存続すると判断したという。