「投入する薬品などの量を時間をかけずに、一発で合わせられると気持ちがいい」と話す菊川尚弘さん=兵庫県姫路市、MIKIKO撮影

凄腕しごとにん 菊川尚弘さん(40)

新喜皮革 なめし職人

 水車のようにぐるぐると回る木製ドラムが連なる作業場。前掛けにゴム手袋、長靴を身にまとい、通称「太鼓場(たいこば)」に入るや、表情が引き締まった。

 「ただ回すだけやったら楽ですけど、1年を通して気候や水温も違うんで、太鼓でなめすときは薬品や水の量、回転のスピードなどの調整が難しい」

 なめすとは、動物の「皮(SKIN)」を薬品に漬けるなどの加工をほどこして腐らなくさせ、強くしなやかな「革(LEATHER)」へと変える作業だ。なかでも馬の革は繊維が緻密(ちみつ)で、独特の風合いを醸し出す。馬のおしり部分(コードバン)にいたっては「革のダイヤモンド」と形容されるほどの輝きを放つ。

 そんな革の仕上がりを左右する仕事に携わって10年、なめした馬の革は約40万枚にのぼる。

オンリーワンの味わい 皮なめし発祥地の希少メーカー

 「皮なめしの発祥」とされる…

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