韓国・忠清南道瑞山市の浮石寺で、長崎県指定有形文化財の「観世音菩薩(ぼさつ)坐像(ざぞう)」の返還を前に法要が行われた=2025年5月10日、貝瀬秋彦撮影

 2012年に長崎県対馬市の観音寺から盗まれ、韓国へ持ち込まれた仏像が10日、現地で日本側に引き渡された。対馬に戻るのは12日になる予定。日韓関係に一時は摩擦をもたらした問題が、13年を経て決着する。

 対馬市役所から車で約1時間。北部の上島にある観音寺の檀家(だんか)総代長、村瀬辰馬さん(70)は、「帰りを待ちわびていた。うれしい。日程がはっきりするまで不安だったが、安心した」と笑顔をみせる。

 この寺の本尊、県指定有形文化財「観世音菩薩(ぼさつ)坐像(ざぞう)」が盗まれたのは12年10月だった。村瀬さんは当時、「なんて罰当たりなことを」と感じたという。

 盗難後、対馬の人々が仏像の行方を知ったのは翌13年1月だった。海を越えた韓国側で窃盗団が拘束された。仏像は回収され、韓国政府が保管。だが、すんなりと日本に戻らなかった。

 韓国の浮石(プソク)寺が「高麗時代に浮石寺で造られた記録がある」などと主張。韓国政府が仏像を日本側に引き渡さないように求める仮処分を申請し、同年2月、現地の大田(テジョン)地裁が認めた。

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