「藍を継ぐ海」(新潮社)で第172回直木賞に決まった伊与原新(しん)さん(52)が15日、会見で喜びを語った。一問一答は次の通り。
――まず一言。
どちらかというとくすぶっていた地球科学研究者だった自分が、ひょんなことから小説を書き始めて、気づけばこんなところに来てしまった。不思議な気持ちです。
――選評で「科学的な知識が単なるネタに終わっていない。しっかり小説の素材になっている」という言及が。
そこはずっとデビュー以来、苦労してきたところ。科学的な事実そのものというより、それをやっている科学研究者、その人間的なところをきちんと描くと、自然と科学的事実も鮮やかに描けて、読み取っていただけることが多いなと、最近は考えている。
科学的な事実をどうすれば飽きられず、読み飛ばされず、読者をひきつけられるかは、以前の作品でもやってきた。やりかたは完全ではないが、少しずつ上達していると思います。
――表題作「藍を継ぐ海」で…