プロボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(32)=大橋=は14日、名古屋市のIGアリーナで防衛戦を行い、世界ボクシング協会(WBA)暫定王者のムロジョン・アフマダリエフ(30)=ウズベキスタン=に判定で完勝した。
父でトレーナーを務める井上真吾さん(54)はこの試合前、いつもと違う悩みを抱えていた。
「ボクシングという競技であってはならない結果が続いた。自分自身、指導者として、そして父親として考えさせられる出来事。複雑な思いがあった」
8月2日にあったプロボクシング興行に出場した神足(こうたり)茂利、浦川大将(ひろまさ)の2選手が、試合後に急性硬膜下血腫で死亡した。この2年間で日本のリングでは、4人が急性硬膜下血腫となり、3人が死亡した。
「この競技をやる以上、(急性硬膜下血腫に)なる可能性もある。させてしまうこともありえる。誰も望んでいることではない」
改めて、我が子がリングに上がって戦うということを考えたという。
「やっぱり怖い。真剣にやっていかなくては」
井上がボクシングを始めてから、真吾さんが教え込んできたボクシングの基本は「打たせずに打つ」だ。
「ボクシングは打たれること…