外務省=東京・霞が関

 外務省は25日、東シナ海の日本と中国の地理的中間線の西側で、中国による新たな構造物1基の設置に向けた動きを確認したと発表した。5、6月にもこの周辺で別の構造物を設置する動きが確認されており、中国がこの海域に設置する構造物は21基目。いずれもガス田開発とみられ、金井正彰アジア大洋州局長が施泳・在日中国大使館次席公使に強く抗議した。

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 外務省によると、見つかった構造物は、掘削施設を載せるための「やぐら」のような柱が水面から見えている状態。5、6月に見つかった構造物も、掘削施設の完成などの大きな変化は見られないという。いずれも自衛隊が目視で確認し、空撮画像などを資源エネルギー庁に照会。ガス田開発の可能性が高いと確認し、外務省に伝えた。

 この海域は排他的経済水域(EEZ)や大陸棚の境界線をめぐり、日中間の境界線が画定していない。日本は国連海洋法条約に基づいて、日中間の中間線をもとに境界線を画定するべきと主張。中国は中間線を越えて、沖縄列島まで大きく迫る範囲で中国の権益が及ぶと主張している。日中両政府は2008年、境界線の画定を「棚上げ」する形で日中が資源を共同開発することで合意し、条約化に向けた交渉入りも検討されたが、その後は進展がなく、中国が相次いでガス田開発とみられる施設を設置している。

 全体の稼働状況の把握には限界がある。ガス田は通常、煙突から火が出ていれば稼働していることがわかるが、「現場海域は遠く、リアルタイムで活動状況を把握するのは困難」(外務省関係者)という。

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