現場へ! 老いたデカセギ日系人(2)
2024年5月、愛知県豊田市の保見団地で「保見のサムライ」というグループが発足した。メンバーは60~80代の約10人。職場を失ったものの、市シルバー人材センターの会員となり、活路を見いだそうとしている「シルバー日系ブラジル人」たちだ。
団地で外国人向けの日本語教室を開いたり、学習支援活動をしたりしているNPO法人「トルシーダ」が同年にシルバー人材センターと協力し、「草刈りのための日本語講座」を開いたのがきっかけ。草刈り機の使い方や熱中症予防などに必要な日本語を教え、受講した人たちがグループを作り、団地内の草刈りに奮闘している。
時給は1300円。「年金がなくても、なんとか暮らせる収入」が目標だ。小学校や公園の草刈りも手がける。
1992年、日系人の夫とともに来日したブラジル人のサカグチ・バレリア・トルシさん(63)もこの講座で学び、草刈りをしている。「とても満足。でも、こんな将来が待っているとは思いもしなかった」と振り返る。
配偶者の在留資格には、就労制限がない。派遣会社を通じて、自動車の部品工場で働いた。午前5時に家を出て、午後11時まで働いたこともあった。だが、60歳を過ぎて雇い止めに遭った。
日本で自分たちの暮らしがやっと
「日本に来た時から社会保険…