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保見団地に住むサカグチ・バレリア・トルシさん(右)と事実婚の夫(中央)の日系人たちは、「保見のサムライ」として、シルバー人材センターで、草刈りをしている=2025年1月16日、愛知県豊田市保見ケ丘、平山亜理撮影

現場へ! 老いたデカセギ日系人(2)

 2024年5月、愛知県豊田市の保見団地で「保見のサムライ」というグループが発足した。メンバーは60~80代の約10人。職場を失ったものの、市シルバー人材センターの会員となり、活路を見いだそうとしている「シルバー日系ブラジル人」たちだ。

 団地で外国人向けの日本語教室を開いたり、学習支援活動をしたりしているNPO法人「トルシーダ」が同年にシルバー人材センターと協力し、「草刈りのための日本語講座」を開いたのがきっかけ。草刈り機の使い方や熱中症予防などに必要な日本語を教え、受講した人たちがグループを作り、団地内の草刈りに奮闘している。

 時給は1300円。「年金がなくても、なんとか暮らせる収入」が目標だ。小学校や公園の草刈りも手がける。

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シルバー人材センターの会員になり、草刈りや木の根を取り除く作業をする日系ブラジル人たち=愛知県豊田市、サカグチ・バレリア・トルシさん提供

 1992年、日系人の夫とともに来日したブラジル人のサカグチ・バレリア・トルシさん(63)もこの講座で学び、草刈りをしている。「とても満足。でも、こんな将来が待っているとは思いもしなかった」と振り返る。

 配偶者の在留資格には、就労制限がない。派遣会社を通じて、自動車の部品工場で働いた。午前5時に家を出て、午後11時まで働いたこともあった。だが、60歳を過ぎて雇い止めに遭った。

日本で自分たちの暮らしがやっと

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