小林製薬(大阪市)の紅麴(こうじ)サプリメントをめぐる健康被害の問題で、日本腎臓学会が4月1日に公表した症例調査の中間報告では、大半の患者が、尿細管の機能が低下する「ファンコニー症候群」の可能性があることが分かった。学会副理事長で調査に携わった猪阪善隆・大阪大教授(腎臓内科)は、短期間の服用で発症した例があることからサプリメントに「作用が強い物質が含まれていたのではないか」と指摘する。
ファンコニー症候群は、腎臓の中にある尿細管という部分がダメージを受けることで起こる。尿細管は体に必要なブドウ糖やアミノ酸、ミネラルなどを再吸収して血液中に戻す働きがある。
尿細管に障害が出て再吸収ができなくなると、カリウムやリンといった電解質や尿酸が体から失われ、低カリウム血症、低リン血症、低尿酸血症が起こる。主な症状には、倦怠(けんたい)感、体のむくみ、脱水、食欲不振、腹痛などがある。
同症候群の原因としては、抗がん剤や抗ウイルス薬、鎮痛薬といった薬の副作用が多いとされる。ただ、猪阪教授によると、今回のようにサプリメントによって起こることもあるという。
学会の中間報告では、患者がサプリをのみ始めた時期が2023年12月や今年1、2月など、発症までの期間が短い例もあった。
猪阪教授は「あくまでデータからの推論」とした上で、「長期間の服用で発症したというより、比較的短期間の服用で発症したと考える方が合理的。多くの人が発症していることを考えると、比較的作用が強い物質が含まれていたのではないか」とする。
製造された原料のサンプルか…