事実上、次の首相を選ぶ自民党総裁選が12日、告示された。過去最多の9人が名乗りを上げる混戦は、世論の支持を集める石破茂元幹事長(67)=無派閥=と小泉進次郎元環境相(43)=無派閥=を軸に、高市早苗経済安全保障相(63)=無派閥=が追う展開。ただし、いずれの候補も1回目の投票での過半数獲得は厳しく、決選投票をにらんだ駆け引きも始まっている。
12日午後、自民党本部8階のホール。所信発表演説会に臨む9人の候補者が、やや窮屈そうに壇上に並んだ。所属議員や党員へ意気込みを語る最初の重要な機会だが、候補者が4人以下なら20分ずつ与えられる演説時間も10分に制約された。
これまで最多だった5人を大きく上回る候補者数になった最大の理由は、昨年来、大きな問題となってきた派閥の裏金事件にある。
事件を機に、麻生派を除く5派閥が解散を決定。派閥が前面に出る政治を許さない空気が世間に生まれた。結果、総裁選の趨勢(すうせい)を左右してきた領袖(りょうしゅう)の影響力は弱まり、中堅・若手もある程度自由に動けるようになった。
多数の候補で戦うことは、総裁選全体の構図に別の影響も与えている。
立候補の条件は、推薦人20…