北朝鮮による拉致被害者家族会や支援団体「救う会」などは23日、東京都内で「全拉致被害者の即時一括帰国を求める国民大集会」を開いた。主催者発表で約800人が参加した。
就任後初の参加となった石破茂首相は、2002年9月の日朝首脳会談で北朝鮮が拉致を認めた当時、自身が拉致議連会長だったことに触れ、「ありありと覚えているが、横田早紀江さんが当時『めぐみは生きている』と叫んだ。それがこの問題に取り組む原点」と語った。「実際に会いもしないで相手を非難しても始まらない。正面から向き合って思いを実現したい。首脳の戦略的決断が事態を動かす」と述べ、金正恩(キムジョンウン)総書記との日朝首脳会談の実現に意欲を示した。
横田めぐみさんの母早紀江さん(88)は「青年たちが突然連れて行かれ、声も聞こえない人生が長い年月続いている。日本はこんなことでいいんでしょうか」と問いかけた。拉致被害者の曽我ひとみさん(65)も、1978年に拉致された際に生き別れた母ミヨシさんを気遣い、「優しく心の温かい母と半世紀近くも会えないなんて悔しい。私に親孝行する時間を与えてください」と訴えた。(編集委員・北野隆一)