100日弱にわたる日本と米国の関税交渉で、日本政府が最もこだわったのが自動車関税の引き下げだった。
4月30日。羽田空港に赤沢亮正経済再生相の姿があった。米政府との2度目の閣僚級交渉に向かうためだ。意気込みを問う報道陣に赤沢氏は言った。「ある自動車メーカーは1時間に100万ドルずつ損をしている状況だ。国益は譲れないが、ゆっくり急ぐ」
石破茂首相が、トヨタ自動車の豊田章男会長と都内のホテルで会ったのは、その翌日のことだった。
「米メーカー車、日本のトヨタ販売店で扱ってもいい」
政府関係者によると、豊田氏…