【遊ばない子どもたち】

 子どもが外で遊ばなくなっている。背景は何か、どのような影響があるのか。

 任意団体「子どもの健全な成長のための外あそびを推進する会」の代表発起人で、国際幼児体育学会長も務める前橋明・早稲田大教授(69)に聞いた。

  • 体動かして遊ばない子どもたち 学習は増、水泳43%減、他種目も減
「子どもの健全な成長のための外あそびを推進する会」代表発起人の早稲田大の前橋明教授

     

 子どもたちの運動量は激減しています。

 5歳児の午前9時~午後4時の歩数を計測しました。1985~87年は約1万2千歩だったのが、91~93年には7、8千歩に。98年以降は5千歩程度となりました。

 また、日本を含む多くの国で1日1時間以上の外遊びが推奨されています。1日2時間の外遊びが近視発症を抑えるという調査結果もあります。しかし、コロナ禍以降の2020、21年に私の研究室で子どもの保護者を対象に実施したアンケート形式の調査では、現代の降園後・放課後の平均外遊び時間は幼児で20分程度、小学校低学年で30分程度、高学年でも40分程度という結果が出ました。

 今の子どもたちには、都市化や環境の整備不良で安全な遊び場という「空間」がありません。そして、習い事などで友達と遊ぶ「時間」もなく、「仲間」も集わない。三つの「間」が不足しています。

写真・図版
「野球・サッカー・ゴルフの練習は禁止」と書かれた看板がある公園=2024年6月12日、埼玉県朝霞市、佐藤祐生撮影

 幼児や小学生の時期に外で体を使わなければ、全身の筋肉や骨の発達が遅れ、平衡感覚や空間認知能力も育っていきません。

 単に体力をつくるだけではありません。外遊びを通して得た体験は内面の成長につながり、自ら考え、自ら学ぶ自立的な子どもを育んでいきます。

 太陽のもと、鬼ごっこやドッ…

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