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新属新種の植物「ムジナノショクダイ」の花=田金秀一郎さん撮影
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 光合成をしない少し変わった植物、タヌキノショクダイの仲間の新種が見つかった。神戸大などのチームが3月に報告し、「ムジナノショクダイ」と名前がついたその植物は、国内ではおよそ1世紀ぶりとなる歴史的な発見だった。

 2022年6月上旬のある晴れた日、前日の雨で地面は少し湿っていた。福岡県の植物愛好家、中村康則さん(49)は、鹿児島県の大隅半島の山地で、落ち葉の茶色の中に、色白く目立っている1センチほどの花を見つけた。

 「なんじゃこりゃ」

 普段から植物観察によく出かける中村さんだが、図鑑では見たことのない特徴を持つ花だった。「間違いなく新種になるな」。そう直感した。見つけた1株をそっと採集し、知り合いだった鹿児島大の田金秀一郎准教授に送った。

 田金准教授も新種の可能性を考え、さらにタヌキノショクダイの仲間に詳しい神戸大の末次健司教授と情報を共有した。するとすぐに返事がきた。「これは新属レベルの発見になるかもしれません」

 生物の分類では、最小単位である種の上の階級として、近しい種をまとめたグループの「属」、さらに属をまとめた「科」などがある。新種の発見は今も報告されることがあるが、国内の植物で新属が発見されたのは1930年までさかのぼる。

 ただ一つ問題があった。今回、見つかったのは1株のみ。本当に新属新種と言える特徴を持つのか、より詳しく調べるためには、もう数株が必要だった。

 中村さんの報告から1週間も…

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