2023年7月20日 6:00(日本時間)
東京大学が将来のパンデミックに備え、国内の研究機関やバイオベンチャーが開発したワクチンを臨床試験用に生産する施設を立ち上げる計画であることがわかった。
早ければ来年度にも開設予定で、この施設は大学が運営する国内初のワクチン生産拠点となる。
平時から臨床試験を通じてワクチンの安全性や有効性を迅速に確認できる体制を構築し、国産ワクチンの使用促進を図るのが狙い。
千葉県柏市の同大キャンパス内の約1000平方メートルの敷地に4階建ての施設を建設する。 同大は産業界や行政と連携し、今年度中の完成を目指す。
臨床試験は通常、数十人を対象に安全性を確認する第1段階、第2段階の3段階で実施される。 第二段階は数百人。 そして最後の第 3 段階には数万人が参加します。
関係者によると、新たな施設では第2段階の臨床試験用に数百人分のワクチンを生産する能力があると見込まれている。
東京大は医薬品製造の安全基準を確認した上で、2024年度にサイトの運用を開始する予定だ。
同大学は平時のワクチン開発を目的とした政府プログラムの重要な部分を担っている。
インフルエンザワクチンは国内の製薬会社が製造するのが一般的だが、新型感染症のワクチンは大学やバイオベンチャーが主に開発しており、臨床試験に十分な量を生産する設備がない。
東京大学は、この新しい施設をこうした研究機関や企業が緊急時に利用できるようにするとともに、そこで製造されたワクチンを臨床試験に参加する病院が使用できるようにする予定だ。
新型コロナウイルス感染症のパンデミック以前は、新たなワクチンの開発と実用化には少なくとも10年はかかると言われていた。 新施設により開発期間の短縮が期待されます。
平時は医薬品の製造や人材育成などに利用されるとみられる。
この取り組みを担当する東京大学の菊池雅彦氏は「今後のパンデミックに備え、産官学が連携した取り組みを増やしていきたい」と語った。