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日本ガイシの看板=名古屋市瑞穂区

 セラミック製品大手の日本ガイシ(名古屋市)が2026年4月、社名を海外で使っている「NGK」にグローバルで統一する予定だ。祖業の電力向け絶縁体がいしは今では売り上げの1割未満となり、主力の製品が自動車や半導体関連などに変わってきていることに対応するものだが、社名変更にはそれだけではない理由もあるという。

 「皆さんは『日本ガイシ』という社名では最後の新入社員となる」。小林茂社長は4月1日にあった入社式でそう切り出すと、50年に向けて目指している事業構成の転換や期待することを語りかけた。

 同社は1919年に日本碍子(がいし)として創業した。がいしは、鉄塔や電柱につけられ、電気の漏れを防ぐ役割を担う。当時、高電圧に耐えるがいしは輸入に頼っていたが、国産のがいし製造に乗り出したことが社名の由来となっている。英語の社名「NGK INSULATORS」のINSULATORも、がいしを意味する。

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送電線の絶縁に使われる日本ガイシの「がいし」。祖業のがいしの技術を起点に、様々な製品が生み出されてきた=同社提供

 祖業のがいしで培ったセラミック技術を起点に会社はグローバル企業へと成長してきた。70年代以降、自動車の排ガス浄化製品やセンサー、半導体製造装置用の部品を手がけ、それらが主力の事業に。売り上げの約8割は海外が占め、社名変更は長らく検討課題となっていた。

 「社名が会社を全然表していない。そもそもinsulatorが何のことだかわからず、外国では困る。常に課題として認識している」。小林社長は22年当時、取材にそう語っていた。

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