ジェンダーにとらわれない多様な選択ができるまちの実現に向け、神戸市が5月に神戸新聞社(同市中央区)と結んだ連携協定について、16日の市議会決算特別委員会で、報道機関の中立性の観点からの質疑応答があった。
連携協定書では「地域と地域に根差したメディアの持続的発展を図ること」を目的に掲げ、ジェンダー平等に向けた情報収集・発信などを双方の合意の上で実施することも記されている。
だが、取材や報道に関する制限が生じないことについて記載はないため、日本維新の会の岩谷栄成市議は「独立性担保が明記されていないのはなぜか」と問うた。市側は「(独立性担保は)言わずもがな。なので、あえて触れていない。市長選前は(連携協定に関わる)記事の掲載をしないなど、編集権の自由を認めている」と答えた。
自治体と報道機関の連携をめぐっては、大阪府が2021年、読売新聞大阪本社と包括連携協定を締結。販売網も使い「情報発信」など8分野で連携するとした。協定書には「取材、報道、それらに付随する活動に一切の制限が生じないこと」と明記されたが、特定の報道機関と連携することが「政治的公平性を欠く」として問題になった。
連携先を地元紙とした理由については「全国メディアは神戸だけのニュースとなると連携が難しかった」などと説明した。
神戸新聞社は、朝日新聞の取材に「連携は編集権に影響が出ないよう行う」としている。