フクロクジュクラゲの繁殖個体。傘の高さは1センチほど=鶴岡市立加茂水族館提供

 山形県鶴岡市立加茂水族館、新江ノ島水族館(神奈川県)、福山大学マリンバイオセンター水族館(広島県)、九十九島水族館海きらら(長崎県)で2日、七福神の福禄寿に似た「フクロクジュクラゲ」の繁殖個体の展示が始まった。このクラゲを水族館で繁殖させての展示は、世界でも記録がないという。

 ハワイや豪州、カリブ海など暖かい海にすむクラゲで、国内では沖縄や高知、相模湾などで採集記録がある。採集したものは、過去に新江ノ島水族館で展示された例がある。ただ、成長や生態が詳しく観察された記録はほとんどないという。

 見つかったのは、福山大学内海生物資源研究所の、タツノオトシゴの水槽の中。クラゲは成体になる前に、岩や貝殻にくっついて生活する「ポリプ」と呼ばれる時期がある。発見時には種類不明だったが、展示している種類が世界一の加茂水族館をはじめ、クラゲに知見がある三つの水族館に飼育を依頼。発見したポリプから、赤ちゃんクラゲに育てることに成功した。福山大と黒潮生物研究所(高知県)の研究者が、フクロクジュクラゲと確認した。

フクロクジュクラゲのポリプ=鶴岡市立加茂水族館提供

 加茂水族館は3月にポリプを受け取った。生息地の気候に合わせた温度でポリプを育てたところ、1~2週間で1ミリほどの赤ちゃんクラゲが発生。現在は傘の高さが1~1.5センチになった数十匹を展示している。成体は約10センチになるといい、エサの種類などを試行錯誤している。

野生のフクロクジュクラゲの成体=新江ノ島水族館提供

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