エンミチ文庫では、登録料500円で本が借りられる=2024年5月2日午後3時0分、東京都江東区、三宅梨紗子撮影
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 私設図書館で本棚を持ち、好みの本を並べて貸し出す「本棚オーナー制度」が全国に広がっている。自ら料金を負担して本棚を借り、オーナーになる魅力とは――。(三宅梨紗子)

 東京・深川。富岡八幡宮と深川不動に挟まれた下町情緒あふれる街に5月1日、私設図書館がオープンした。壁一面の本棚は細かく区分けされ、それぞれオーナーの個性やこだわりがにじむ。

 ある一角には、昭和史の漫画とともに魚の見分け方の本が並ぶ。オーナーで会社経営の瀬尾真一郎さん(49)は、「記憶」をテーマに掲げる。魚を食べる人が減り、食文化が変化しているとし「忘れられたものをもう一度思い出すきっかけに」との思いを込める。

 本作りの職人から少女へ、子どもから母へ、戦争体験者から若者へ。「こころつなぐ本だな」がテーマの一角には「書き手の想いを読み手のお心にお届けします」と記されたカードもあった。

 ほかの棚にも、建築や科学、航空に子育てなど異なるジャンルの本が並び、「ぼくが面白いと思った本です」「みなさまがホッとできる 幸せになれる文庫でありますように」といったメッセージが添えられている。

 私設図書館「エンミチ文庫」は、高齢者向けのデイサービスや学童保育が入る複合施設「深川えんみち」に誕生した。運営するNPO法人理事長の押切道子さん(47)は「多世代が集まる場だからこそ、本を通じた新たなコミュニティーをつくりたい」と語る。

97歳の男性は児童文学や漫画を手に……

 オーナーは月額1500円か…

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