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畑で収穫されたばかりの大根=2025年1月14日、神奈川県三浦市、沼田千賀子撮影

 冬は大根のおいしい季節です。おでんや煮物はじんわりおいしく、おろして焼き魚にそえれば甘さと辛さを楽しめます。ただ、生産量は減っています。全国有数の産地である神奈川県三浦市を訪ねました。

 1月中旬、三浦市内の畑では大根の収穫が最盛期を迎えていた。三浦市は10月から3月に出荷される秋冬大根の、日本一の産地だ。

 1.5ヘクタールの畑で大根を作る石田隆一さん(54)は、午前7時から妻のみどりさん(54)と畑に出ていた。かつては三浦半島で大根と言えば、首が白くて細く、下に向かって太くなる三浦大根だった。いまはより小ぶりでまっすぐな青首が主流。放射線状に広がる葉の下に、薄緑色の首が見える。

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畑から大根を抜き、葉を切り落とす。軽トラックの荷台に積んで洗浄機のある自宅に運ぶ=2025年1月14日、神奈川県三浦市、沼田千賀子撮影

 葉の下の方を持ち、1本ずつ抜いて畑に並べる。ある程度まとまったら、葉の根元を残してざくざくと切り落とす。葉から水分が蒸発するのを防ぐとともに、出荷用の箱に収まるようにするためだ。すでに収穫が済んだ畑に隆一さんが軽トラックを乗り入れ、荷台に積んでいく。

 大根は収穫のときに腰の曲げ伸ばしが多く、体に負担がかかる。みどりさんは発泡スチロールでできた小さな腰掛けを腰にくくりつけ、ときどき座りながら作業していた。

 「正座して収穫する人もいるし、腰のことを考えながらいろんなこぎ方(抜き方)をする人がいますよ」

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洗い終わった大根を箱詰めする=2025年1月14日、神奈川県三浦市、沼田千賀子撮影

 収穫後は自宅の敷地にある作業場に運ぶ。回転するブラシのついた洗浄機に通し、別の機械で重さごとに選別し、台車に積む。台車から箱に詰めながら、隆一さんは「今年の出来はいい方。肌にしみがなくてきれいでしょ」。冬の大根は甘みがのって、みずみずしい。

 全国的に大根の生産は減って…

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