太平洋戦争中の空襲などによる戦争被害者4団体が19日、立法化による救済を求めて東京・銀座をパレードした。「80年前に戦闘は終わったが、被害と苦しみは続いている」として、補償や実態調査など残された戦後処理問題の早期解決を求めた。
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パレードしたのは、全国の空襲被害者、沖縄戦や南洋戦の民間被害者、韓国・朝鮮人の元BC級戦犯やシベリア抑留者らの団体。67人が参加し、銀座の繁華街を歩きながら、6月に会期末となる今通常国会での法成立を訴えた。
戦争被害者に差別なき救済を
戦争で死亡したり、障害を負ったりした軍人や軍属、その遺族らには恩給や年金、弔慰金などが支給される。一方、空襲などによる一般市民の被害は救済されていない。シベリア抑留者には2010年に「シベリア特措法」ができたが、対象が日本国籍を持つ人に限られるなど不十分さが指摘されている。
戦後80年にあたり、初めて企画した合同パレード。東京大空襲で母と2人の弟を亡くした河合節子さん(86)は手を振りながら「戦争被害者に差別なき救済を」などと呼びかけた。「何だろうと関心を寄せ、問題があることを知ってもらうだけでも効果はあったのではないか」と汗をぬぐった。
シベリアに3年間抑留された西倉勝さん(99)は「戦争があったことを知らない若い人もいる。行動を通じて、二度と起こしてはいけない、巻き込まれてもいけないということも一緒に考えてくれたら」と語った。
父親が広島で入市被爆し、語り部活動をしている天野佳世子さん(58)は「戦争だから民間人の被害は仕方がなかったと認めてしまえば、また同じことが繰り返される。国は痛みに向き合い、責任を感じてほしい」と語った。