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 JR初の特急「ハイパーサルーン」に、関空特急「はるか」、ドバイメトロの新型車両――。鉄道デザイナーの第一人者、南井(みない)健治さん(68)は、時代の空気を列車に映してきた。社会が大きく変化し、鉄道のあり方が問い直されているいま、デザインに何が求められるのか。

 「車のデザイナーは多くいる。でも、鉄道は数人。頑張ったらトップになれる」。京都市立芸術大で工業デザインを学んでいた南井さんは、就職活動で近畿車両(大阪府東大阪市)を訪れたとき、社員にかけられた言葉に心を動かされた。

写真・図版
鉄道デザイナーの南井健治さん=2025年7月17日、大阪市北区、大山貴世撮影

 当時、鉄道は輸送力が重視され、デザインは二の次。全国で同じような色や形の列車が走り、車のように個性的でデザイン性の高いものが、ほとんどないと感じていた。

記事の後半では、南井さんがデザインに関わった車両をまとめて見られます。

 1979年、期待を抱いて入社したが、上司から思いがけないことを告げられる。「君の仕事は色と柄。形は設計の仕事だから、きれいな絵を描いていればいい」。列車全体をデザインできると考えていただけにショックだった。

語り継がれる名車、生まれた背景は

 好機が訪れたのは87年。国…

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